韓国最大のソーシャルメディア、カカオトークを運営するカカオは2月4日、米OpenAIとの提携を発表した。この提携は、カカオトークにOpenAIのChatGPTを組み入れる契約を含むもので、韓国人ユーザー向けの新たなツールを共同開発する計画もある。
ソウルで行われた合同記者会見でカカオは、「Kanana(カナナ)」と呼ばれる、同社が開発する次世代の人工知能(AI)メッセージングサービスが、OpenAIの高度なモデルを基盤として構築されると発表した。この新サービスは、チャットの履歴に基づいてAIがパーソナライズされた応答を提供するものとされる。
カカオはまた、OpenAIの技術をカカオトークなどの既存の製品にも導入し、メッセージングを含む複数のサービスで活用すると発表した。
OpenAIの共同創業者でCEOのサム・アルトマンは、「私たちはカカオのユーザーに先進的なAIを提供し、人々のつながり方を変革することを楽しみにしている」と語った。カカオのチョン・シンアCEOは、「この提携は、私たちが未来に近づくための転換点となる」と語った。
カカオは、これまで独自の大規模言語モデル(LLM)を開発する代わりに他社が開発済みのAIモデルを必要に応じて選択するモデルオーケストレーション戦略を取っており、今回の提携でこの路線をさらに強化する計画だと報じられている。
昨年3月にカカオのCEOに就任したチョンは、それ以前の10年間を投資子会社のカカオベンチャーズで過ごし、同社の代表を務めていた。彼女は、カカオの創業者で会長のキム・ボムスらに株価操作の疑惑が浮上し、後に逮捕される中で経営の立て直しを任された。フォーブスは昨年、カカオにとって初の女性CEOであるチョンを、アジアの傑出した女性リーダーを称える『パワービジネスウーマン』リストに選出していた。
OpenAIのアルトマンは、カカオとの提携を発表する前日の3日に、東京でソフトバンクグループの孫正義CEOと共に記者会見を開き、合弁会社SB OpenAI Japanの設立を発表した。この合弁会社は日本企業向けにAIサービスを提供する予定で、ソフトバンクはOpenAIの技術を自社グループ全体で活用するため、年間30億ドル(約4600億円)を投資すると発表した。