アップルとグーグル、3.7兆円規模の「ダークウェブ」アプリを削除

史上最大のダークウェブ市場を運営していたとして1月14日に告発されたカンボジア企業Huione Group（フイワン・グループ）のアプリが、アップルとグーグルのアプリストアで過去数カ月間に渡って配信されていたことが明らかになった。

暗号資産関連の犯罪を追跡するElliptic（エリプティック）とChainalysis（チェイナリシス）によると、フイワン・グループは、テレグラム上で詐欺師向けのマネーロンダリングサービスなどを提供するHuione Guarantee（フイワン・ギャランティ）の背後にいるとされている組織だ。エリプティックは14日、同プラットフォームの取引高が240億ドル（約3兆7500億円）に達し、史上最大の不正オンライン市場になったと指摘した。この額は、麻薬の取引で知られたSilk Road（シルクロード）やHydra（ヒドラ）のような悪名高い闇市場よりも規模が大きいとされる。

フイワン・グループは、マネーロンダリング以外にも、決済アプリや暗号資産取引所、モバイル・メッセージング・サービスなどを運営しているが、それらも詐欺行為に使われているかどうかは不明だ。

「グーグルとアップルは、フイワン・グループのアプリを自社のプラットフォームを通じて配信するのが適切かどうかを検討すべきだ」とEllipticのトム・ロビンソンCEOは話す。

グーグルにコメントを求めたところ、同社は14日にフイワン・グループが運営するすべてのアプリを削除し、広報担当者もその事実を認めた。一方、アップルは15日時点で暗号資産取引所のアプリを削除したが、コメントは拒否した。同グループの他のアプリは、現在もアップストアで配信されている。

フイワン・ギャランティは、数千ものテレグラムチャンネルからなるネットワークで構成されており、それぞれが異なるマーチャントによって運営されている。「当社の研究チームは、このプラットフォーム上で大規模な詐欺犯罪を実行するのに必要なテクノロジーやアイテムを提供している数千ものベンダーを特定した」とエリプティックは14日のレポートで述べている。

同社の調査によると、フイワン・ギャランティを利用する犯罪者らは、悪名高いピッグブッチャリング詐欺（被害者を「豚」に見立て、長期間かけて信頼関係を築いてから行う詐欺）などの犯罪を支援する様々なサービスを提供しているという。

「このサービスは、世界中で詐欺を働く国際組織犯罪を手助けしているようだ」と、エリプティックは述べている。