ロサンゼルス・ドジャースの元オーナーとして知られる投資家のフランク・マッコートは、「Project Liberty(プロジェクト・リバティ)」と呼ばれるグループを通じてTikTokの買収を提案している。「ユーザー自身がデータを所有する安全で健全なインターネット」を目指すこの団体は、昨年5月に買収案を発表していたが、1月9日に「ピープルズ・ビッド・フォー・TikTok」と名付けた正式な提案を行ったと発表した。
彼らは、投資銀行のグッゲンハイム・セキュリティーズや法律事務所のカークランド&エリス、そして「シャークタンク」に出演するケビン・オレアリーを含む投資家のコンソーシアムなどと提携して提案を行った。提案額は公表されていないが、この計画には「米国の主要銀行の1つ」からの借り入れが含まれる。
現在70歳のマッコートは、以前からTikTokやビックテックに批判的で、「私たちはこのモデルを壊すか、あるいはコントロールや所有権を個人に返すようなモデルに進化させなければなりません。中国のハイテクか、アメリカのハイテクか。それがあなたの選択なのです」と、2023年11月にフォーブスに語っていた。
マッコートのコンソーシアムは、12月のプレスリリースによると、投資家から200億ドル(約3兆1500億円)以上の資金を調達している。この額は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事よるとマッコートがTikTokの価値だと考えているものだという。TikTokの親会社であるバイトダンスの価値は、2300億ドル(約36兆2400億円)以上に達しているが、TikTokは、同社の年間推定収益である1200億ドル(約18兆9100億円)の約15%を生み出している。
バイトダンスは、この提案を公に認めておらず、TikTokの米国事業を売却する意向を示していない。また、仮に売却する場合でも、具体的に何を売却するかについても不明だ。しかし、最高裁判所が1月10日に実施した口頭弁論の模様から、TikTokは、バイトダンスから分離されない限り、連邦法で禁止される可能性が高いと見られている。
マッコートは、今月のプレスリリースで次のように述べていた。「TikTokは、現在のアルゴリズムに頼らないようにすることで禁止を回避して、プラットフォームを存続させられる。私は、バイトダンスやトランプ次期大統領、次期政権との協力を楽しみにしている」